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私のQOL-寒さ対策に向けて

全国パーキンソン病友の会会員 Sさん

薬を飲み始めた20代のころは、副作用もほとんどなく、自由に動くことができました。しかし、飲み続けるうちに、ジスキネジアやウェアリング・オフなどが出現。自分の体のはずなのに、制御不能な状態に悩んだ30代。
40歳になった今。今までとは、求めているものが違ってきた自分がいます。100%元気ではなくても、ほどほどであれば良し。治るとか良くなるとか、そんな急激な変化も期待していません。ただ、一日の中で、苦しさや痛みを感じる時間が1秒、1分でも少なくなり、代わりに、穏やかに笑顔で過ごせる時間が増えれば、上出来上出来。
今は、お金がさほどかからずに、自分でできることがあれば、なんでも試してみよう、と思っています。その結果、体と心が快適と感じて、リラックスできることが見つかったら、日々の生活に取り入れています。今回は、冬に立ち向かうための寒さ対策について。

【手首・足首・首を温める】

「首」とつくところを温めると、不思議と身体が冷えません。首には、ハイネック。外出時には、マフラーやスキー用のフリース地のネックウォーマーも簡単で便利。じっとしていると冷えるので、動きやすい服装が好きです。薄くて、軽くて、暖かい、そんな素材が理想です。足首には、レッグウォーマーが力を発揮。

【冷えを感じたら、すぐに足湯】

 100円ショップで、膝の高さほどの容器(ごみ箱、バケツなど)を購入。片足ずつ足湯して、温まったところで、お湯から出し、足の裏をもむ、足の指を回す・動かす、ふくらはぎをもむ、など。その間にもう片方を足湯へ。お湯の温度は、お風呂よりも少し高め。冷めたと感じるときは、熱湯を足して調節。体調がすぐれない日は、一日に何度も足湯を繰り返すこともあります。足湯の利点は、服を脱がなくてもよいこと。ただし、いつでも足湯ができるように、タイツは履けません。車いすの方でも、気軽にできると思います。

【寒い夜は、湯たんぽ】

 電気敷き毛布は、手軽に使えるのですが、朝起きるとのどをやられてしまいます。良質な睡眠のためには、足元を温めるといいそうです。手間はかかりますが、布団に入るのが楽しみになって、手間も惜しまなくなりました。熱湯を扱うので、やけどにはご注意を。

【愛用の袋状の毛布で足までポカポカ】

 こんなアイデア商品があることに驚き。簡単に言うと、「寝袋型の毛布」です。中に入ると、まるで、ミノムシ。子どものころから、寝相が悪く、寝ているときに布団から足が出ていました。この病気になり、思うように体が動かず、寝返りも打てないので、当然、ずれた布団を直すこともできません。そんな私の救世主!

【レンジで加熱できる小豆のカイロ】

 とても便利。レンジで2分加熱するだけで、ホカホカ。私は、朝ご飯の支度の際、肩に乗せて使っています。これがないと、冬の寒い朝は乗り切れません。繰り返し使えるところがいいです。小豆の香りにも癒されます。

【筋力をつけ、できる限り動いて、自分で熱を生み出す】

 何だかんだ言ってもこれが一番大事。外からいくら温めても、体の芯が冷えていては、本末転倒。動ける時間に、無理をせず、疲れない程度に。身体が動かなくなる病気だからこそ、動かすことが維持するために必要です。

上記コラムについては、全国パーキンソン病友の会の会報誌に掲載された内容を個人が特定できない形に修正した上で、同会のご承諾のもと掲載しております。