Vol.03
葛藤と本音
30代前半でパーキンソン病と診断されるなんて。
完治せず動きにくくなるのを実感しながら生きていく。
そんな病気に何で私がならなきゃいけなかったの?
綺麗にメイクしても、どんなに可愛い服を着ても小刻みや突進歩行、それに体が勝手に動くでしょ。
趣味を続けても、新しいこと始めても、どうせ動きにくくなるでしょ。
生きている意味あるの? 生きていていいの?
看護師としてパーキンソン病の方の看護経験のあった私は自分の将来を想像することができました。
それは全てのことを諦めるには十分な理由になったのです。
診断された当初は拒薬したこともあります。
目に映る全ての人が羨ましく、自分一人が不幸を背負った気分になっていました。
そして自殺を考えたこともあります。
ただそれを実行しなかったのは子供たちの存在。
こんな私でも「お母さん」と呼んでくれる。私を必要としてくれている。
諦めたくない、どんな姿になってもこの子たちの母親でいたい。
そんな思いとは裏腹に発症して7年目、パーキンソン病は容赦なく進行しています。
薬が効いていない「オフ」という状態の時は、自分のこともままなりません。
無意識でできていたことが、今では意識してもできない事もあります。
この現実は受け入れ難く、正直どう表現するのが正しいのかわかりません。
それは子供たちも同じだと思います。
長女と長男は元気だった頃の私を知っています。
そして進行していく私の姿を一番近くで見てきました。
診断当初は小1と年中だった子供たちも、今は思春期真っ只中で難しい年頃です。
家では色々と手伝ってくれますが、外に出ると周囲の目を気にするようになりました。
オフの時のぎこちない動きはその場で休憩したらあまり目立ちませんが、一歩踏み出そうとすると、突進や小刻みといった歩行障害が出てきます。
ジスキネジアが出ている時は、自分の意思とは関係なく体が勝手に動き、自分では止めることができないため目立ちます。
周囲から驚かれたり好奇の目にさらされることもあります。
私自身ある程度仕方ないという思いがありますが、子供たちはそうではありません。
自分の母親が笑われたり、何か言われていると気づいた時どれだけ傷つくと思いますか?
子供たちの表情が曇った瞬間を見た時、あれほど心が張り裂けそうな気持ちになったことはありません。
私のせいで子供たちが傷ついている...
「どんな姿になってもこの子たちの母親でいたい。」
そう思ったはずなのに。
病気のことを知っている人たちは
「気にしなくていい(周りの目)」
「悪いことしてないんだから」
と言ってくれます。
でも、もしパーキンソン病が原因で子供たちがいじめにあったら、そう考えると、学校行事に参加することさえためらうようになりました。
子供は素直な分、残酷ですよね。
思ったことをダイレクトに伝えてくるので...
そんな中、長男に変化がありました。
友達に私の病気のことを伝えたと言ってきたのです。
それだけでも驚いたのですが、YouTubeでパーキンソン病について勉強し、更には私が開催しているzoom会に参加したいと言ってきました。
あまりにも突然のことだったので、動揺しましたが同時に嬉しいという気持ちもこみ上げてきたのも事実です。
子供たちは日々葛藤しながらも私の病気を知ろうとしてくれています。
今でも辛いと感じることは沢山ありますが、子供たちと言う最強の味方のために私は毎日を乗り越えていきます。